[TOE] テイルズオブエラーニア レビュー

暇なうちにTOC。

テイルズオブエターニア
対応機種:PSP
CERO年齢区分:A
ジャンル: RPG
発売日:2005年3月3日
希望小売価格:5,040円(税込)
プレイ人数 : 1人

PSP/テイルズ オブ エターニア | バンダイナムコゲームス公式サイト

オリジナルは2000年にPS向けに発売されたものですね。今回やったのはリメイクされたPSP版だけど、グラフィックがちょっと改良された程度で特に追加要素もなく、ほぼオリジナルと同じとのこと。旧作なので、以下いくつかネタバレしてます。ご注意を。

ストーリー

評価 B

まず世界観。2つの世界が空を挟んで上下に存在する・・・という物理的にあり得ない設定なんだけど、それ自体は、まぁファンタジーの世界だからOK。でも、球体の星じゃないのかと思いきや、星っぽいのね。大枠としては、その2つの世界が近づきつつあって、近いうちに衝突する(グランドフォール)という事実があり、それを阻止せにゃ!ということになるようです。話が進んでいくと、そのグランドフォールは、どうやら誰かの手によって人為的に仕組まれたことらしいということがわかってきて、そいつがラストにつながると。

テイルズの話は、悪役(主人公の敵)にも正義があり、悪役だからといって必ずしも“悪”ではないというパターンが多いんですが、今回も例に漏れず。この白黒はっきりしない感じは話的には理解しづらいけど、個人的には好みですね。

ただ、正義が悪を倒すというRPGのストーリーとしてそれを展開させるのは意外と難しく、それで何が解決したのか?ということが把握できないで、結局何だかよくわかんなかったという感想になりやすい。で、このTOEもそんな感じでした。多分、背景設定や世界観も、ゲーム内で表現されている以上に
もっと広く深く練られていたんだと思うんですが、ゲームでそういう世界事情を切々と語るのもくどいし、RPGとして必要な部分だけつくったら、何か言葉足らずになった・・・そんな印象です。

ただ、この世界観は面白いと思いますね。

グラフィック

評価 B

PSPなので、グラフィック能力自体はPS2と同レベル。ただ、土台がPSのゲームなので、基本的にはPSレベルですね。バトルでの技や魔法などのイフェクトがリメイクされてるとのことなので、そこは少しキレイになってるんでしょう。(私はオリジナルをやったことないのでわからないですが)

あと、いくつかイベントムービーも挿入されてるけど、特にセリフなどのない、映像オンリーのムービーですね。フィールドや街、ダンジョンの見やすさという点では見やすいということもないけど、難はない程度だと思いました。

サウンド

評価 B

作曲は、テイルズではお馴染みの桜庭、田村のコンビですね。全体的に静かで落ち着いた感じの曲が多く、それによってゲーム全体もクールな感じが出てた気がします。インフェリアは、明るく穏やかな雰囲気で、セレスティアは、暗くてちょっと寂しい雰囲気。これはフィールドや街の曲もバトルの曲もそういう感じで、上手くその2つの世界の感じが出せてるなと思いました。やっぱり音楽がゲームの雰囲気をつくってしまいますね。

バトル

評価 B

2DのLMBSですね。3DになるのはTOSからだったかな。TOP以来、2Dで気になるのは前後の概念なんだけど、今作TOEでは、前後を切り替えられるようになっていたので、そのあたりはTOPからの改善が見られました。あとTPの概念は、TODのようなCCなど特殊な仕様ではなく、従来RPGのMPと同じ役割で、技や魔法を使う際に普通に消費。回復手段はアイテムと食事という感じ。

ただ、メンタルバングルやエメラルドリングなどの消費TPを抑える装備とTPを回復する食事などによってTPが枯渇するということはあまりなかったですね。オレンジグミなどのTPを回復するアイテムも現地の敵がポロポロ落としてくれるし。結構思いっきり技や魔法を撃つことができて、その意味では楽しいバトルが展開できました。

今作は、システムではなく、回復手段を充実させることでそのへんをクリアしてますね。ただ、2DなLMBSの性格上仕方ないとは思うけど、大体ハメたもん勝ちなバトルになるんですよね。大体どんな敵でも、画面の隅っこに追いやって殴り続けるか画面全体が効果範囲の魔法などを連射したりすれば相手は技を出せず身動きもできず、楽に昇天させられる。それでなくとも、虎牙破斬や裂空斬を連発するだけで大抵の敵が撃破できてしまう。秘奥義(?)や召喚などは演出も派手でキレイなのでそれらを使う場面ももっとあっても良かったんですが、実は、キールあたりにフリーズランサーを連射させてリッドは裂空斬を連射してればほぼ必勝だったり。面倒くさかったらハメで済んでしまうというのは良くも悪くもこのバトルシステムの性質でしょうね。逆に、敵にハメられたらこっちも瞬殺されるので、ちょっと油断するとすぐ全滅というシビアさもあります。

とりあえず、指が痛い。

キャラクター

評価 B

主人公はリッドでしょうね。いろいろ面倒くさがりな感じ?最初は、面倒を起こしたり面倒に巻き込まれたりすることを極力避けたいという言動が目立つんだけど、いろいろ面倒にクビを突っ込みたがる幼馴染みのファラに振り回されて、今回のゴタゴタにも巻き込まれていくと。そのファラというのが今回のヒロイン(多分)。あと、この物語のキーキャラというか発端がメルディという、空から降ってきた少女。途中からあるアイテムを使って言葉が通じるようになるけど、なぜか中国人風な喋り方。まぁ、カワイイから良し。

あとレギュラーとしては、リッド、ファラと幼馴染みのキールという秀才で虚弱体質な青年も。あと、パーティに参加する準レギュラーキャラが2人。一時的に参加するキャラが1人で、PCはこの7人かな。他、NPCは無数に出てくるけど、そこは割愛。基本は、リッド、ファラ、メルディ、キールの4人で、(準PCのチャット、フォッグは必要なときに呼べば来る感じ)TODのようにPCが10人以上もゾロゾロと登場するようなえらいことにはならないで済んでます。

テイルズは、半分キャラゲーなので、それぞれの個性や生い立ちなんかもしっかりつくられていて、それがストーリー自体にもしっかり絡んでますね。バトルにおける立ち位置ですが、キャラが少ない分、前衛はリッドに集約されてますね。リッド1人が、剣、槍、斧、あと槍斧を使いこなす。多くの武器を使えるという楽しさもあるけど、反面、いろんな武器を使えるようにしなきゃならない、つまり、武器もそれぞれ買い揃えないといけない(これはやりこみ上の話ですがね)という面倒さもあるので、一長一短ですかね。

ファラは格闘だけど、簡単な治癒術も覚える。回復、解毒、蘇生ができて、物語前半では重宝するんだけど、後半になり、後衛が高位の晶霊術を使えるようになると、ファラのそれより強力な治癒魔法も使えるようになるので、彼女の立ち位置が微妙になってくるんですよね。アタッカーとしてはフォッグの方が高性能だし、アイテム目的のローバーアイテムが使えるもチャットなので、ファラは彼ら準PCに置き換わる場面が多くなってくる。何となく、ファラがちょっと可哀想な感じでした。

あと、後衛となるメルディとキールなんだけど、彼らは役割が全く同じなんですよね。どの晶霊をつけるかでどちらの立場にでもなれる、というか。それでも良いんですが、キャラゲーに徹するなら、例えば、メルディは闇の力を持っているという設定なので晶霊も闇系統のやつしかつけられないようにするとか、そういう違いをつけても良かったのかな、みたいな。ゲーム性というか、仕様としてはこれでOKなんですけどね。

ゲームシステム

評価 B

メニューはテイルズのメニュー、横バージョン、ですね。(という表現が適当かどうかわからんけど)

アイテムなんだけど、分類ごとにタブ切り替えできるのは良い。ただ、そのタブ内でのアイテムの並びが気に入らない。しかもソートできないので、使う度に毎回探すんですよね。なぜかライフボトルが先頭にきてたり、グミの並び順もバラバラな感じだし、パナシーアボトルが下の方にあったり、使う頻度としては逆だろう?と思ったりも。せめてソートできるようになってて欲しかった。あと、全体マップを一発で開けない。それも使いづらいアイテムメニューから開くことになる。このへんの機能性はTOPと同じか。

成長システムは、普通にレベルによる段階成長。ただ、キャラ自身のレベルに加えて晶霊のレベルもあって、覚える晶霊術(魔法)はその晶霊のレベルに連動する。でも、どちらを育てるのもバトルを繰り返して経験値を稼ぐことなので、やることは変わらない。(晶霊はアイテムで経験値を与えることもできるけど)

あと、テイルズ恒例となる食事の概念もしっかりある。これは非常に使えるシステム。有効活用させてもらいました。オート調理も設定できる。このシステムはテイルズの特徴でもあるので、今後も踏襲されていくでしょう。

モンスター図鑑はやりこみ要素ですね。新顔を見たらスペクタクルズはクセにしとくと良い。他、サブイベントやミニゲームもかなり仕込まれているので、本編以外でのオマケ要素もいろいろ遊べる内容。(やりこみ疲れしやすい人にはありがた迷惑だったり?)あと、隠しダンジョンもしっかりあるので、全部やりこむと、おそらく60時間以上は費やす感じかな。

あと、PS版では、当時あったポケットステーションを使用したゲーム要素(エタポケ)があったようなんだけど、さすがにその要素はPSPでは削除されてました。

総評

評価 B

惜しい。ひとことで評すると、そんな感じ。

もういろいろ惜しい。ストーリーは、全体として興味深い内容なのに、作中で語られているのはその一部という印象があって、エンディングまでいっても消化不良感が残る。バトルも、ハメ万歳なところがあって、特に最後の方、敵が強力になってくると、普通に戦ったのでは相手にハメられることが多くなり、打つ手は裂空斬の連射。キャラも、リッドもファラもいまいち魅力に欠ける。悪くはないんだけど、良くもない?というか。

ここらへんは結構個人的な好みの話になるんだけど、大体こういうキャラゲーは「オレこのキャラ好き」という特定のキャラができたりするものなんだけど、今回それがなかったんですよね。あえていえば、チャットかなぁ。彼女の、普段は強気だけど動物嫌いのくだりが面白いんだけど、いかんせん出番が限られてるので、薄味に終わった感が。

エンディングは、いろいろな結末を確定的に描いてないので、そこらへんはプレイヤーに想像させる感じですかね。これも、テイルズの終わり方の特徴かもしれないけど。リッドとファラのラブコメの行方とか、エターニアが分離した後のメルディの存在に言及してないとか、そこらへんをぼかしてるのは、演出としてはアリでしょう。

・・・とはいえ、セイファートやネレイドというのは何者なのか、2つの世界(惑星?)をつないでいた意味とか、その構造とか、それとバテンカイトスの関係とか、いろいろ不明なまま。どうも、伏線の回収率が悪い。そういえば確か、TOEってオンライン版が出てましたね。実はそっちでいろいろ続きが語られているのかな…。

少なくとも、この作品単体で見た場合、良作の匂いを残しつつ、やっぱり惜しい作品、という感じでした。

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