1999年11月アーカイブ

今やコンピュータ全盛期、主婦が家計簿をつけたり、女子高生が電子メールを交換したりと、ビジネスだけでなく家庭にも広く浸透している。うちの母親 もつい最近表計算のソフトを使ったパートの仕事を始めた。一番縁のないと思っていた人までもそれを使う時代‥‥。新聞に次のような言葉があった。

「ヒトは体の外に脳を持つようになった」

この電脳社会の基礎を作ったのは、実は、核兵器開発だった。戦時中、米ロスアラモス研究所では、各分野のプロフェッショナルが集められ核兵器開発が 行われていた。爆弾の設計段階で、核物質を最も効率良く爆発させるための圧縮火薬の配置、爆弾の規模と破壊力の程度、爆発の高度とそのときの効果、などの 計算を行わなければならなかったが、それらは人の頭でやるにはあまりに膨大な計算量だった。そこで機械による計算をするわけだが、当時の計算機というのは 電気機械式で、スイッチのオンオフをリレーでカチカチと切り替えていたという。この処理速度というのはあまりに遅く、もっと効率の良い計算機の開発が望ま れていた。そこで、このオンオフの切り替えを真空管で電子的に行う「コンピュータ」が考案された。

現在、多くのコンピュータに採用されている方式は「ノイマン型」というものである。この大きな特徴は「プログラム内蔵方式」だ。私たちの使っている パソコンはソフトをインストールすればそのまま使える。しかし、登場当時のコンピュータは使用目的が変わる度に配線を繋ぎ変えなくてはならず、準備に数日 かかるということも珍しくなかった。フォン・ノイマンがこの形式を考案した背景にも、水爆開発があった。

文明は戦争と共にあり。これは人類発祥以来、ずっと続いている伝統であるともいえる。そもそも、今現在地球上に君臨している生物というのは、それ以 外の存在を足蹴にしてのし上がった子孫なのだ。おそらく、その中で一番大きな顔をしている人間は、地球上で最も野蛮な生物である、ということもできるだろ う。

オッペンハイマーやアインシュタインなど、核開発に関わった科学者の多くは、それを作ってしまったことを生涯悔やんだという。しかし、ノイマンは 違った。彼の日本への核攻撃を考える際のメモに、京都に落とすことは心理的効果あり、と記されていたそうだ。戦後も、ソ連への先制核攻撃さえ考えていたと いう。ロスアラモス研究所の同僚ベーテ博士は、ノイマンのことを「彼は倫理ということを理解していなかった」という。しかし、良い悪いは別にして、もしそ うした攻撃的な精神がなければ、今の人類はなかった、ともいえる。

2014年3月

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