ニコニコ動画

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2006年12月にサービスを開始してから瞬く間に国内のWeb動画ブームのメインストリームに躍り出た「ニコニコ動画」。それまでの動画共有サービスといえば「YouTube」が何となく知られている程度だったのだが、その後発であるニコ動がここまで人気をさらっていったのは何故なのだろう。

2ちゃんねるからニコ動へ

ニコ動が他のサービスと一線を画しているのは、何といってもコメント(文字列)を動画の上にオーバーレイして表示する機能だ。これは、コメントの文字サイズや色を簡単にデコレーションして流すことができる、というもの。端的にいえば、動画の上でチャットができるようなものである。

これがヒットする前の土壌として、巨大Web掲示板群である「2ちゃんねる(2ch)」の存在がある。2chでは、完全に匿名で好きなテーマの掲示板の好きな話題(スレッド)に好き勝手に自分の意見を書くことができる。その中には、画像や音楽などが紹介されることもあり、それに関連する話題が派生したり、その画像や音楽を実際に観たり聴いたりできるWebサイトのURLなどが紹介されたりすることもある。

ニコ動はその逆だ。動画や音楽がまず紹介され、それについて閲覧者がいろいろなちゃちゃを入れるわけだ。その動画は誰でも掲載(アップロード)することができ、掲示板のスレッドを立てるノリで動画をアップロードして、その動画自体が語り合う場になるわけだ。

もともと2chがWeb上でかなり多くのユーザを得ており、その2chの文化そのままに、舞台を動画の上に移したのがニコ動だといっても良いだろう。

ニコ動の付加価値

動画の上に文字を重ねる、という手法は、一見すると動画が文字で隠れてしまうことになり、動画が観づらいじゃないか、という印象がある。実際、大きな文字を大量に流されると、肝心の動画が見えなくなってしまうこともある。これが不思議とあまり抵抗なく受け入れられているのだが、それは何故なのだろうか。

実は、ニコ動のユーザにとって、動画を見ることも目的のひとつであるが、そこに流れるコメントを見ることも重要な目的のひとつになっているのだ。まず話題の元となる動画はありきであるが、それに関する感想や意見、賛美絶賛、不平不満などの反応も楽しんでいるのである。そのコメントを見てさらに別の反応が付き、その連鎖で動画というスレッドが盛り上がっていく。これがなければニコ動である必要はなく、動画だけを堪能できるYouTubeで十分ということになるだろう。

また、ニコ動では、その動画の再生時刻に対してコメントを入れることができる。流れている動画の「ココ!」というポイントで突っ込みを入れられるということ。また、コメントの文字列の長さによって文字が流れる速度が変化する。動画のタイムラインや文字の流れを利用してコメントのタイミングを計ったり見せ方を演出するというのはニコ動ならではの新しい楽しみ方といえる。

マイナーをメジャーに

ニコ動は、会員登録(無料。プレミアムは有料)さえすれば、誰でも動画をアップロードできる。つまり、プロの放送事業者や作家、クリエイターでなくとも、不特定多数に対して自分の作品なり訴えをそこに公開することができる、ということだ。

そこには、ある程度のモラルや倫理的なルールというものは存在するが、基本的に何でもアリである。世の中の流行に沿っている必要もないし、全く自分の趣味の映像をつくって公開しても良いわけである。それがどう評価されるかは閲覧者次第。最初は自分だけの趣味だったのに、公開してみれば大ウケでブームにまでなってしまった、ということもニコ動では頻繁にあったりするのである。

また、世の中ではマイナーな文化だけど、世の中の方が食わず嫌いなだけで、ちょっと観たり聴いたりしてみたら「意外と良いな」というものも幾多と存在する。ニコ動は、そのようなマイノリティのメジャーデビューの場も提供しているといえるだろう。

問題点

扱う対象が映像、楽曲であるだけに、やはり著作権、版権の問題はついてまわる。実際、無許可での公開(二次利用)が禁止されている映像やJASRAC登録曲なども日常的にアップロードされている。ただ、現状のルールをそのまま遵守していたのでは、ニコ動のような文化やエンタテイメンメントはスムーズには成立していかないという葛藤があるのも事実で、これはニコ動だけでなく、IT文化全体が孕んでいる問題である。どちらかといえば、現状のルールがいささか時代遅れな位置にあるのであり、今まさに、その作者や権利保有者、そしてユーザの両者に最も利のある新たなルールの策定が求められている。

また、上記とは別に、ニコ動はコミュニティであり、そこには2chやその他のSNSなどが持つコミュニティとしての問題も存在している。特定の作品や人物を中傷したり、場を荒らすだけのコメントをするだけの人が現れたりといったことは、インターネットという完全にパブリックな世界では避けることができない。これは運営側ではなかなか解消することのできない問題で、どちらかといえばユーザ同士が一定の(常識的な)ルールを持って接する必要がある。

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